マネー・ローンダリング及びテロ資金供与防止(マネロン対策)とは何をどうする?をご説明します。
マネロン対策とは何に対する対策?
マネー・ローンダリング及びテロ資金供与(略してマネロン、資金洗浄とも呼ばれる)は犯罪(例えば、麻薬取引、詐欺、汚職など)で得た不正なお金の出所を隠し、そのお金を正当なものに見せかけること。
マネロン犯罪者は金融機関や企業のサービスを利用して犯罪資金を取引の中で循環、洗浄して元の犯罪への結びつきを払拭しようとします。よって金融機関や企業にとってのマネロン対策とはそのような犯罪資金が取引に入ってくることを阻止、受け付けない対策。
マネロン対策とは一般企業もするべきなのか?
現在、日本で法律によってマネロン対策が義務付けられているのは下記の業種ですが、近年その範囲は拡大傾向にあります。マネロンの趣旨を考えると、一般企業も何らかの金銭取引が発生する事業を行っていればマネロンに利用されてしまうのが現実です。実際、2025年アメリカでは現金の警護輸送を行う企業も金融関連企業とみなされ、マネロン対策が義務付けられており、対策不足で行政処分対象されたという事例がでています。
今や企業コンプライアンスの一部としてマネロン対策は不可欠なものとなっています。
銀行
信用金庫
信用協同組合
農業協同組合
漁業協同組合
保険会社
金融商品取引業者
信託会社
不動産関連業者
貸金業者
資金決済業者
電子決済手段等取引業者
弁護士・司法書士・税理士などの専門職
カジノ事業者
貴金属等の売買業者 など
マネロン対策にはどのような対策がある?
マネロン対策の基本要素3つは ①「顧客の確認」②「取引の監視」③「疑わしい取引の届出」
①「顧客の確認」犯罪者は本人の実名や実背景を隠したがります。または、他人を装った取引を行おうとします。なので身分証明書で本人の身元をまず確認。身分証明書と目の前の本人の一致を確認。確認したら、取引禁止対象者ではないか世界金融制裁対象者リスト&PEP検索でチェック。
②「取引の監視」既存のお客様でも何か最近取引内容がおかしい?といった異変を検知。たまたま何かおかしく見えただけなのか、何か犯罪に絡んだり、金融犯罪の被害者になっていないかなど確認。
③「疑わしい取引の届出」疑わしい、なにか怪しいとおもったらすぐに金融庁や都道府県の担当局など業種によってきめられている届け出先にすみやかに届け出。
"犯罪資金が取引に入ってくることを防止、監視、怪しいことがあったら管轄当局にすぐに届け出るのが金融機関、企業にとってのマネロン対策"
【中小企業向け】ステップバイステップでわかりやすい企業コンプライアンス「マネロン対策」の始め方
それでは1から順番にご説明します。
経営陣のマネロン対策理解と関与
まず、会社の経営陣が自社にとってのマネロン対策必要性と対策の意義を理解し、方針として定める。
例:「マネー・ローンダリング等および反社会的勢力等への対応に関する基本方針」の公表
2.リスクアセスメント(リスク特定と評価)
自社の取引内容や提供サービスなどを精査し、マネロン関連リスクを特定。そして特定されたリスクの内容、影響とレベルを確認。これはマネロン対策専門家やマネロン監査を実施している監査法人さんなどに相談。
この自社特有のリスク評価に基づいて次のステップで効果的な対策を講じます。
3.「AMLオフィサー(マネロン対策担当者)」の設置
企業や業務規模によりますが、マネロン対策部署を立ち上げる、もしくは社内のマネロン対策の専門、責任者を選任します。小規模企業の場合は。業務の傍ら、社内のマネロン対策推進を行う責任者を立てるのもよし。AMLオフィサー(Anti Money Laundering/アンチマネー・ロンダリング)オフィサーは同業種での意見交換会やACAMSによるマネー・ローンダリング防止対策のスペシャリスト講習受け、資格を取得するなどして専門知識を身に着ける。
弊社プリズムチームは日米及び世界的な金融犯罪対策に従事するプロフェッショナルを対象とした世界最大の会員制組織のACAMSのアンチマネーロンダリングスペシャリスト資格を取得しましたが、他にも多くの資格講習があるようですので自社にあった対策を構築する為にぴったりなものをお探しください。
また、各部署(例:エンジニアリング、営業、経理)に一人担当を置き、各業務エリア専門のAML担当者を定め、
定期的に会議を設け、マネロン対策を見直し、改善するプロセスを設けてください。
4.業務フローにマネロン対策を組み込む
これは第一線のマネロン対策です。
業務内容によって違いはありますが、取引を開始する際の顧客の確認プロセスを確立します。
必要最低限の顧客確認要素は2つ。
①本人確認(身分証明書でそのご本人かどうかの確認)と②顧客デューデリジェンス
①本人確認(KYC)
身分証明書と本人の照らし合わせ。KYC(オンラインの場合eKYC)と呼ばれる作業。
KYCとはKnow Your Customer = 顧客確認をしてお客様を知ろう!という意味。
ここでは新規個人顧客と取引を開始する際の身元確認の方法とその内容を決定し、業務フローに追加します。
申込窓口やオンライン申し込み時の業務作業にKYCを組み込み、社員の対応方法などをチェックリストやフローにして窓口対応をする担当者全員が確実に正確な本人確認を行えるように整備します。
例えば、来店時の身元確認方法、オンライン申し込み時の方法、対応してもらえない顧客への対応方法など。お客様への身元確認への協力を呼び掛けるのも重要です。
②顧客デューデリジェンス(CDD)
照らし合わせた本人(お客様)が取引を開始して安全な方か否かの確認です。
日本及び世界の金融制裁対象者やその関係者ではないか、またより慎重なデューデリジェンスが必要なPEP(政府関係者など)またその関係者ではないか、を世界の制裁対象リストで検索、一致がないか確認します。
金融制裁対象リストは随時日本、世界各国の政府や組織から発行、アップデートされています。
氏名、別名、ニックネームなど偽造身分証明書を使用している場合もあるので念入りにチェック。また対象リスト掲載関係者も調査が必要です。
もしも、一致があった場合はその内容を考慮した上でより詳しくデューデリジェンスを行い、その結果に沿って取引の方針を決定してください。そして必要に応じて、後述の疑わしい取引の届け出を提出してください。
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③取引の監視/モニタリング
既に取引を開始している場合でも、取引の監視が重要です。例えば、取引内容の変化や異変には特に気をつけて継続的に取引のモニタリング。業務内容にもよりますが、日常多くの取引がある場合、はマネロン対策、取引モニタリングシステムの導入が必要な場合があります。
④疑わしい取引の届け出
もしも、取引開始の時点で何か異常を発見したら、もしもと取引のモニタリング中に何か異変を発見したら金融庁のガイドラインに沿って担当当局に「疑わしい取引の届け出」を行います。現在マネロン対策が義務付けられている対象業種は特に、この届出を怠るとマネロン対策義務違反となり、行政処分対象になります。
一般的には上記3.で選任したAMLオフィサー、マネロン対策担当者に異常内容を報告、その内容に関する正しい情報を調査、取得した上でAMLオフィサー、マネロン対策担当者から完成した疑わしい取引の届け出を指定された方法で当局に提出するという業務フローになります。マネロン対策システムなどを活用し、疑わしい顧客や取引を的確に検知・監視・分析することも重要です。
4.記録保存
本人確認時の資料の証跡や、顧客との取引や世界金融制裁者&PEP検索時の記録など、継続的にマネロン対策を行うことができる内容を記録。
5.定期的監査とトレーニング
マネロン対策専門家や外部の監査法人さんに依頼するのも良し。年次監査は外部に委託し、四半期毎の定期的なものは社内で育成したAMLオフィサー(マネロン対策担当者)が実施するもよし。マネロン対策が正確に実施されているか、改善事項はないか、また新たな法規制に準拠しているか、定期的に確認をしてください。
そしてマネロン対策に関する業務フローのリフレッシュとアップデートされたフローやマネロン対策知識に関してのトレーニングを年一回は実施してください。また、このトレーニングは現場社員だけではなく、経営陣も実施対象としてください。
まとめ
今回は【中小企業向け】ステップバイステップでわかりやすい企業コンプライアンス「マネロン対策」の始め方をお届けしました。マネロンの基本についてはこちらです。
マネロン対策は何からはじめればよいのかわからないし、なんだがよくわからない!と言っている間に対策が不十分な企業は、知らぬ間に犯罪資金のマネー・ロンダリングに利用され、違法行為に巻き込まれるリスクがあります。
それだけではなく、顧客だけでなく、銀行や金融機関からの信用も失う可能性がありますマネロン対策は、企業をリスクから守り、信頼を維持するために不可欠なコンプライアンスです。
未だ、対象じゃないから大丈夫と言わず、会社のリスク管理の一部としてマネロン対策を取り入れてください。
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